瞳の中の大河:沢村凛 新潮社

長く続いた小国の内乱に軍人である主人公が立ち向かう話。 銀英伝を1冊に濃縮して思想を抜いた感じ。主人公いい奴。 他の登場人物もスポット当てれば主人公になれるくらいの人材揃い。 群像劇+人間模様。面白さがとてもわかりやすい物語。 400ページのハー…

ニューズウィーク 2006-11・8号及び2006-11・15号

コカの葉を合法ビジネスに利用。南米諸国の先住民にとっては生活に密着した「聖なる植物」であり、一掃は良くないと考えて。 政府が麻薬組織より高く葉を買い上げる仕組み。コロンビアでは清涼飲料「コカ・セック」が大ヒット中。 基礎研究の重要さ。移植を…

レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」より

一瞬、バーの中がしずまりかえった。 活動家らしい男たちは早口でしゃべっていた口をつぐみ、カウンターの酔っ払いはバーテンに話しかけるのをやめた。 ちょうど、指揮者が譜面台をかるくたたいて両手をあげたときのようだった。 とある美女の初登場シーン。…

高島俊男「中国の大盗賊・完全版」より

もうこのころになると、建国前からの軍人や高官は、まだ生きているのが不都合だと言わんばかりに片っぱしから殺されてしまう。 博友徳将軍なんぞは何で殺されたのかわけがわからないので、歴史家たちも理由を探すのに難儀している。 突入した後一ヶ月くらい…

ニューズウィーク 2006・11/1号

ウォルマートが中国へ進出中。未開発の小売市場と成長中の中産階級が揃っている場所だから。 水槽から客に魚を選ばせて目の前で捌くなど、あっちのスタイルに合わせた売り方を取り入れてシェアを拡大しつつある模様。 本国では訴訟でイメージが落ち、韓国・…

MOMENT:本多孝好 集英社

1つの病院を舞台に、謎の仕事人が死にかけた人の望みを叶える話。全4話の連作中篇。 こっちの人が褒めてたので読んでみた。 とりあえず面白い事は間違いなくてそれをどう表現しようか悩む。 大学生の主人公が自分の進路に悩みつつ他者と関わって成長していく…

セリーヌ「夜の果てへの旅」より

「崇拝者が暴君を詰り出すのは自分たちを殺しまくるということじゃない! そうじゃない! そんなことはなんでもない! それくらいはいくらも許してやる! が、突然、退屈な奴に変わっちまったこと、こいつばかりは許せない。 まじめな奴はまったくお義理にも…

「世界の前衛演劇」より

実験とは未知の領域に略奪をしかけることであり、その略奪事件のあとに 初めてはっきりと理解されるものである。前衛とは文字通り最前線に進出することである。

山田風太郎「絞首刑第一番」より

「いまさら身の破滅が笑わせらあ。やい、あの黒門のなかは、 もうとっくに命をなげだした死人のあつまりだぞ。 死人に話をしにきたのがうぬの因果だ」 ぱっと、雨のなかを光芒がはしった。 「いずれ、話はとっくり、冥途できこう」 3行目の燃え具合は読んで…

.hack//G.U. The World Vol.09

.hack//G.U.+に出てた洗脳アトリのビジュアルがグロすぎる件について。 君想フ声オーヴァンとはまた違う直接的な恐怖。 ゲーム本編と違って年齢制限無いからって張り切り過ぎですシナリオ担当の浜崎さん。 年齢制限といえば洗脳アトリの行動。 下腹部に牙生…

ニューズウィーク 2006-9・6号

天文学者のマイク・ブラウンさん。惑星の新たな定義案の採択に尽力して 「自分は冥王星を葬った男として、歴史に名を残すことになるかもしれない」 ニューヨーク最高齢のバーテンダー、ホイ・ウォンさん(90) 「引退するつもりはない。この仕事も、人に会う…

イリアム

ダン・シモンズ氏の新作。「イーリアス」を下敷きにギリシャ神話の神と英雄を描いた話。 神サイドはナノテク技術だの量子テレポートだの使います。何せ神だから。 正直「ハイペリオン」を超えるのは無理だよなぁとか思いながら読んでたのだけど、 途中でそん…

「世界の神々」がよくわかる本

ギリシャ神話からクトゥルーまで、世界の代表的な神話の大枠と109柱の神様の紹介。 ゲームやらラノベやらで使われてる神話関係の元ネタがわかって楽しかったり。 ディアドラって名前の娘が森で育てられてたりとか(FF聖戦の系譜)、それを連れ出す騎士がノイ…

ニューズウィーク 2006-8・16/23号

宇宙港の整備が進んでるらしい。 場所は1年のうち320日が晴天なニューメキシコ州の砂漠とか、シンガポールとか。 打ち上げ、整備、訓練といった宇宙関連の施設を一箇所にまとめて、 ついでに将来の観光利用も見越して凝ったデザインにしてるんだとか。 まあ…

すべての映画はアニメになる

押井守さんのインタビューとか対談を集めた本。 20年以上前の発言とかもあるのだけど、言葉が全然古びてない。己の哲学積み上げてる人は強いなあ。

ニューズウィーク 2006-8・2号

『神の啓示プロダクツ』社が聖書の一節をプリントしたゴルフボールを売り出した。 プレイ中の会話のきっかけになればと思って。 「ロストボールを拾った人に対する神の恩寵となるだろう」 300ページの本を3分、値段は1ページ1セントで印刷できる『エスプレッ…

モントリオ・デブローシィ

『ダークエルフ物語』の3巻に登場する盲目の弓手。目が見えないのにどうやって敵を射るかといえば、 相棒のフクロウが敵の頭上で「ホーッ」と鳴くわけですよ。その声を頼りにザシュッと。どんな暗闇でも百発百中。 ひと声鳴くたびに矢が1本飛んでくる。終い…

重力が衰えるとき

アラブチックな近未来都市でハードボイルドな主人公がゴタゴタに巻き込まれて頑張る話。 作者はジョージ・A・エフィンジャー氏。 舞台が舞台なのでイスラームの細かい作法や言い回しの類が全編に頻出する。 「願わくばあなたの食卓が永久につづきますように…

長いお別れ

レイモンド・チャンドラー氏の長編ハードボイルド小説。 世の中にこんな格好良いものがあったのか、ってくらいに格好良かった。フィリップ・マーロウ最高。 PS版牧場物語の図書館の本にあの私立探偵の名前を書いておいてくれたテキスト担当の人に感謝したい…

ライトノベル「超」入門

ライトノベルのわかりやすい解説本。表紙がアニメ絵じゃないのは「わかってる」と思った。 解説本買うようなラノベ読みは表紙がどんなでも気にしないから、初心者が買いやすいようなデザインにするのは正解。 内容は初心者でも読めて上級者ならさらに楽しめ…

ニューズウィーク 2006-6・7号

競馬業界はサラブレッドのクローンを禁止している。 「馬のクローンは科学であって、芸術でもスポーツでもない」 付箋の広告ページに試供品が挟まってた。 要するに付録なんだけど、この雑誌でこういうのを見るのは何か新鮮。 『ラザレスク氏の死』という映…

仮面の告白

男しか愛せない主人公が同級生にドキドキしたり自分の体にドキドキしたり特に胴体がお気に入りだったり 試しに女性と付き合ってみてやっぱり駄目だと気付いたけど向こうはベタ惚れで困ったりする話。 主人公の内面描写がとにかく秀逸。『金閣寺』といい、三…

ファインマンさんは超天才

彼の友人である科学者の言 「ところが魔術師の連中はまったく違う。あの連中は数学の言葉で言うなら、 われわれのいる空間の直交補空間にいるのだ。だから彼らの頭脳の働きなど 事実上理解できっこない」 「リチャード・ファインマンは最高級の魔術師である…

「戦時下」のおたく

図書館で本の背表紙を見ながら歩いてたら目に付いた本。表紙のイラストが恥ずかしかった。 全3章構成で第3章は大塚英志さんによる対談集なのだけど、とりあえず何と言ったらいいか、 今現在ライトノベルを大局的に語ろうとする人間は全員アレを読んでおいた…

聖人プログラム 2999年のゲーム・キッズ短編集

全盛期の星新一氏を彷彿とさせる、きわめて良質のショートショート集。 アイデアの質とその魅力を短いページで表現する文章力の双方が高いレベルに達してます。 『渡辺浩弐』は覚えるに値する名前かと。 というかどこかで聞いた名前だと思って確認したら、フ…

『コーヒーの歴史』第1章・第2章で面白かった箇所の要約+α

コーヒーの原産地はエチオピア。アフリカ大陸の右上の端。 見つけた人物や発見までの経緯は不明。 地元で有名な昔話の一節 「ヤギたちが一本の木から、つやつやした緑の葉や赤い実をかじりとっていく。 すると彼らは走り回り、角で小突きあい、狂ったように…

ケイト・ブラックウェル

シドニィ・シェルダン氏の小説『ゲームの達人』に登場する女社長。 とにかく会社を大きくするためには何でもする。ロボトミー手術で廃人化した息子を始めとして、何人もの人生を狂わせる。 読んでる最中は完全に悪役としか思えなかったのだけど、最後まで読…

ニューズウィーク日本版 2006/03/29発売号 (4/5号)

私は冷静だ、キレたことなんて1度もない。 ときどきちょっと怒るだけだ。 イタリアのベルルスコーニ首相の一言。自分の中のイメージ映像がみるみるうちにグリニデ様に。今ユーロが高くて国内産業も大変なんだとか。 「領土の代わりにロバの耳をくれてやる」…

サイボーグ化する私とネットワーク化する世界

ネットワークという視点で世界を視る事のできる作者が、その目で視たものについて書き綴った本。 自分の中の作者イメージはスラムオンラインの主人公。完全理系。0と1の世界に生きている人。 読み進んでいるうちに、たまにこっちの世界観まで揺さぶられるよ…

犬の気持ちは、わからない 熱海バゼット通信

あの押井守監督が犬について語ったコラム二十数回分をまとめた本。 一つの何かをこれだけ好きになれるのは幸せだよなあ、とか思ったり。 動物好き、とか動物飼いたいなあ、とか思ってる人にお勧め。そうでなくても読み物として普通に面白かったり。 小説版獣…