レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」より

一瞬、バーの中がしずまりかえった。
活動家らしい男たちは早口でしゃべっていた口をつぐみ、カウンターの酔っ払いはバーテンに話しかけるのをやめた。
ちょうど、指揮者が譜面台をかるくたたいて両手をあげたときのようだった。

とある美女の初登場シーン。直接描写の前にそれ以外の周囲を描くというテクニック。