サイボーグ化する私とネットワーク化する世界



ネットワークという視点で世界を視る事のできる作者が、その目で視たものについて書き綴った本。
自分の中の作者イメージはスラムオンラインの主人公。完全理系。0と1の世界に生きている人。
読み進んでいるうちに、たまにこっちの世界観まで揺さぶられるような感覚がしたりする。


・物質と情報を分ける試みは意味を成さない
・ギブスンの小説のように、現実世界と別のサイバースペースというものがあるのではない
・地球規模のネットワークが成立している現在では、サイバースペースが現実の物理的システムの中に組み込まれつつある
電子商取引。決してオンラインで終結するものではなく、デジタル・ネットワークと物理的サプライチェーンの高度な統合


・悪い意味での0と1
・電子的に相互接続された世界では、アドレスと現実の標的との間に根本的な違いはない


・私の世界における恒常性はもはや本拠地でなく、気にかけている人々や場所と電子的にネットワークしていることに由来する
・実家に帰ってる時でもブログの更新や馴染みのHPの巡回はできる、という話?


・音楽を移動するには、最初に演奏された場所からだけでなく、その瞬間からも分離する必要がある
・空気振動の場所と時間を移動しなければならないのである


・一般に電波塔は、高ければ高いほど、放送受信地域が広くなる
・地球に対して相対的に静止している衛星は、恐ろしく高い無線塔の一種である


・様々なプロセスを通して、人の手は地球の裏まで瞬時に届く
・拡張され、他人のそれと絡み合い、相互作用して移動、作動、知覚、制御の世界的システムを作り出している
・私は空間的に拡張されたサイボーグなのだ


・サイボーグ化とは人の能力を拡張すること
・その意味で、我々は無線ネットワーク時代のポスト人間になどなってはいない
ネアンデルタール人の新し物好きが最初に杖と石を拾い上げて以来、我々は一度として人間であったためしはないのであるから


内容が面白いだけでなく、文章自体も上手いですこの人。
理系独特の高い論理性と淡々とした語り口が硬派な格好良さを醸しだしてます。
結構高いので、興味のある人は図書館で探してみることを推奨。