「戦時下」のおたく



図書館で本の背表紙を見ながら歩いてたら目に付いた本。表紙のイラストが恥ずかしかった。
全3章構成で第3章は大塚英志さんによる対談集なのだけど、とりあえず何と言ったらいいか、
今現在ライトノベルを大局的に語ろうとする人間は全員アレを読んでおいた方がいいと思う。何か言うならその上で。


あの人凄すぎ。ライトノベルとか新本格を含めた90年代以降の漫画や小説について
アリを見る人間のような視点から語れる人がいるなんて思わなかった。何この怪物。


ライトノベルの批評の類って、大抵はその分野にどっぷり浸かってる人が内からの視点で
やってるケースが大多数というか、自分はそういうのしか知らなかったから余計に驚いた。
MADARAとサイコと『キャラクター小説の作り方』の人としか思ってなかったのだけど、
全然そんなもんじゃない。もっと凄まじい何か。例えるなら文学に賭ける修羅。


ライトノベルだけじゃなく、80年代からの「おたく」の流れみたいなのをメインに語ってて、そっちも面白かった。
理解できない用語もたくさん出てきたけど、大まかな雰囲気はしっかり伝わってきた。
これ文庫化して角川スニーカーあたりで出したらきっと楽しい事になると思う。やらないだろうけど。