キマイラの新しい城



講談社ノベルスから去年発売された殊能将之氏の小説。密室殺人の被害者である騎士の幽霊の話。
ハサミ男」とか「美濃牛」とか、他の作品にも共通している事なのだけど、とにかくこの作者は人物を描くのが上手い。
突飛な特徴付けに頼らず、何気ない仕草や行動の1つ1つを積み重ねて「こういう人実際いそう」と読者が思えるレベルにまでキャラを立たせてる。
この話に登場する騎士のエドガー卿がその好例。750年前の騎士という馴染みの薄い属性持った人が生き生きと動いてる。
もうこの人本当に渋い。格好良い。熱い。見てて楽しい。誇り高い。優しい。最高。
魅力的なキャラが好きなら、この騎士は一見の価値があると思う。というか映像であの外見70代白髪お爺ちゃんな騎士を見たい。
絵として映えるシーンがいくつもあるし、ミステリーとしても一級品だし、ハサミ男の次は是非こっちの映画化を希望。