ゲーム脳、かく語りき(カードヒーロー編)



「おはよー」
「おお、来てたのか」
ゲームボーイかアドバンスの動く奴があったら貸してくれ」
「何だいきなり」
「いやゲームボーイ後期のソフトに『カードヒーロー』というカードバトル物があってだな」
「うんうん」
「2000年発売なんだが、めっちゃ戦略性があって奥が深いらしくて今でも根強いファンが多い。
 それで12月にDSでリメイク版が出るそうだ。7年経ってからリメイクされるほどコアな人気のあるソフトだということだ」
「ほうほう」
「それが何故かそこのブックオフで700円だった」
「何であるんだよ」
「知らん。だが俺はゲームボーイを持っていない。お前持ってただろ。
 電池も買ってきた。さあやらせろ」
「あいあい。二台あるけどどっちがいい?」
「何で二台も……じゃあ透明な方」
「あいよ。電池が無いな。さっそく借りるぞ」
「おう。何ならソフトの方も進呈する。俺が持ってても仕方ないしな」
「そりゃありがたい」
「……ゲームボーイカラーって、電池2本で動くんだな」
「お、始まった」
「『はじめから』だな」
「あ、最初からにすると勝手にデータ消えるんだ」
ポケモンと同じだな。1カードリッジにデータ1つ」
「じゃあ俺は後ろから見てるから。もう少し画面下げてくれ」
「こうか?」
「おお良い感じ」
「じいちゃんが小遣いくれた。500円」
「これでカード買うのか」
「うはww基本セットで所持金ゼロww カード買えねえww」
「店のおじさんがおまけしてくれた。良い人だ」
「いやわからんぞ」
「このヒロイン、いい性格してるな」
「携帯機にしてはテキスト量多いね」
「おお、レベルアップって。カードゲームなのに」
「HP回復するんだ。ほうほう」
「気合溜め状態か。なるほどなるほど」
「というか練習バトル長いな」
「二回戦は代わりにやってくれ」
「あいよ。おお、結構ルールわかりやすいじゃん。あれだけ説明長かったのに」
「まあ人気あるからな」
「二連敗でも遠慮せず止めを刺せと言い切るヒロイン萌え」
「でも今『ホントにやったわね』とか言わなかったかコイツ」
「マット買ったー。カードゲームっぽくていいね」
「でもまた金無くなったぞ。カード買えねえ」
「ためお強えー! これって勝てるのか?」
「無理だろ。相手が全員自分より強い上に頭数同じだし……」
「あ」
「ああ!」
「おおおおおおお!!!!!」
「そうかそれがあったか!」
「凄くね? ヒント無しで気付いた俺凄くね!?」
「だよなあ。ああ、このためにああなるほど」
「いやあ奥が深いなあ」
「ちょwwwヒロイン外道www」
「いやいやこれは当然の権利」
「マナトットは下位互換なのかな」
「おお後衛モンスターが」
「だよな。4体出せるから2体は後衛でないと」
「じゃあ俺はそろそろ帰るから。思う存分進めといてくれ」
「おおよ」


「おはよー。どこまで進んだ?」
「魔法カードが使えるようになって、引いてみたらサンダーとかいう最強のカードが出た」
「最強というと?」
「敵1体に3ダメージ」
「凄え! それって直接マスター狙えるじゃん!」
「魔法カードってのがまたカードゲームっぽいよな」
「じゃあ今日は俺がやっていい?」
「どうぞどうぞ。俺はネットしてる」
「クラマって誰?」
「昨日公園で会った怪しいオッサン」
「ああ、あのいかにも重要人物っぽかった」
「そうそう」
「デッキ15枚か。ああ魔法カード入れるにはこれくらいないとな」
「お母さんから毎日小遣いもらえるから忘れるなよ」
「おい、いきなりヒロインにフられたぞ」
「何で!?」
「二人で頑張ろうって約束したのにクラマのクラブに入ったからって」
「ああ、そういうのあった」
「おじさんの牧場を手伝って小遣い貯めるつもりだったって。主人公も誘うつもりだったって」
「いい話だなー」
「でもこのパターンはラスボス臭がするよね、このヒロイン」
「終盤で戻ってきて『よくもわたしを裏切ったなー』とかやりそうだよな」
「サンダーは強いけど、ストーン4つ使うのが結構重い。バランス取れてると思うよ」
「レベルアップにストーン1つ使うってのも地味に響く。きっちり計算しないと」
「で、どこまで進んだ?」
「ブースター3つくらい買った。公式ルールは3回戦らしい。先に2回勝った方が勝ち」
「ほうほう」
「先攻後攻は最初ジャンケンで、2戦目はそれを逆にするんだって。よくできてるよね」
「れれ?」
「どした?」
「2ターン目にパワーアップ使って本体狙ってきやがったよコイツ。そんな事したら召喚できないのに」
「出せる後衛が無かったんじゃね?」
「なるほどね」
にゃあ。
「あ、猫きた。駄目! ゲームボーイは駄目!」
「その猫は人懐っこいからな。俺がパソコンやってたらキーボードの上に乗ってくるくらい」
にー。
「ちょっとパス! 俺の代わりにカードヒーローやっといて!」
「おう」
「今2ターン目。後列は2匹とも2ダメージ。前列の左側は攻撃力1だけど前列のどこへでも攻撃できる」
「ふむふむ」
「で、前列の右側は2体同時に攻撃できる。前でも斜めでも。その代わり2体目には1ダメージだけ」
「わかった」
「しかし野生動物にあるまじき無警戒ぶりだよな、こいつ」
「家猫だからな」
「あとそいつはヒーリングとか使うらしい。モンスターのHP回復してくるから気をつけて」
「うお、計算間違った」
「どした」
「いやレベルアップさせる奴を間違えた」
「どっちを上げるつもりだった?」
「ウォータの方。でもまあこっちでもいいか」
「うお、鶏うぜえ!」
「鶏?」
「後列でいきなり3ダメージ与えてくるとか何よ」
「HPは?」
「2」
「それならウォータの吹き飛ばしで狙えね?」
「横に逃がしてきやがった。うぜえ」
「いやマスター越しで斜めも狙えるよ」
「マジで? あ、ホントだ」
「で、どう? 勝ってる? おお、敵2体って圧倒的じゃないか」
「所詮ためおだからな。と、勝ったところで中断。俺はそろそろ出てくるから」
「うい。それじゃー……って、俺一人で猫とカードヒーロー両方は無理!」
「大丈夫。頑張れー」
R-TYPE編