ダブ(エ)ストン街道



何もかもが道に迷う島で、主人公が行方不明の恋人を探す話。
第8回メフィスト賞受賞作。作者は浅暮三文氏。


不思議な住民たちが迷いつつ生きている、地図にも載っていない謎の島。
実は自分、こういう『素性の分からない空間』が結構好きだったり。
例えばミラージュ・ホテルとか、最も深き迷宮とか、ベアルファレスの遺跡とか、イストワールの未定義領域とか、
ボルヘス氏の著作『伝奇集』に出てきたバベルの図書館とか、世界の中心にある楽園に続く塔とか。
そういう舞台でRPGやったら楽しそうだなあ、と。


大勢出したキャラを上手く処理できていない感はあったけど、
個人的には赤い影の正体だけでこの本を全肯定したい気分。
あれ反則。絶対反則。ガーゴイル9巻のテントの人以上に反則。
対抗手段が何も無い。あのキャラをよりによってこの島に持ってきた時点で作者の勝ち。
誰もが一度は考えただろう世界規模のミステリーにあっさり答えを出しましたよこの本。