ソラにウサギがのぼるころ 〜twilight moon rabbit〜  



非日常に憧れる。ライトノベルとか、そういう架空の世界。
突然ソラから女の子が降って来たり、不思議な能力(ちから)が使えたり、嬉し恥ずかしのラブコメしたり。
出来る事なら、そんな世界の登場人物になってみたい。
でもそれは駄目だろ人として、というお話。


非日常に憧れる主人公が、実際に非日常の中に入ってしまった。嬉しいと喜ぶ。
これだけだとハルヒ1巻。既存のライトノベルに対するメタ的な話。
そしてこの話は、それよりさらに一段階メタな話。そんなのに憧れるなんておかしいだろ、という話。


前作の『ホーンテッド!』4巻でも同じ流れがあった。探偵に憧れる高校生の尾張伊呂波。
真剣に現実逃避をしているという、その考えを主人公は気持ち悪いと否定する。


今作では、その真剣に現実逃避をする人間が、主人公というポジションについている。
そして同じく否定される。頭おかしいだろ、と突っ込まれる。


本当は作者自身、非日常な展開が大好きなのだと思う。否定される主人公たちと似たような事を考えているのだと思う。
だけどそれが馬鹿らしい非生産的な空想だと、自分で理解しているから自分で否定する。それが平坂読クオリティ。
ある意味ツンデレ。開き直った照れ隠し。


この話の書き手が、これから何を考えてどこへ行くのかを見守りたい。
とりあえず中途半端なままで消えて欲しくはないから、新刊は買い続けようと思う。


・何だかんだで良い話だったのでは?
・キャラの魅力という点では、ホーンテッド! のが上かも。4冊分のキャラ描写と新刊1冊を比べるのは酷だけど
・漫画版ナポレオンネタもあったような
・それなんてバンプ
・コーヒーに溶けるミルクが哲学的ってのは、PSの『プリズマティカリゼーション』かね? 全編に渡って主人公が一人称で哲学しまくるギャルゲー
・上映されていた映画は、描ききれなかった5巻のクライマックス?
・『究極の後方支援スキル』って字面が気に入った。なんとなくゲームチックで
・自分実は、後方からの支援というのが大好きなのですよ。縁の下の力持ち、って感じがして
・例えばPSの隠れた良作S・RPG『ライアットスターズ』で妖精ユニットが後列にいる時に使う魔法強化能力とか
・β版ROでも弓手やってたし。後ろから崖の上からバンバン撃つですよ(後者はマナー違反)
・あ、そうそう。こないだまでプレイしてたシャイニングフォースネオは、弓で崖撃ちができる画期的な1人プレイ用A・RPGでした
・弓使ってて気持ちよかったですよあのゲーム。ネトゲと違って射程ギリギリ画面外の敵狙っても他の人とタゲ被らないし。長い射程を思う存分生かせました
・くおんと氷川先輩はあんまり必要なかったような。特に氷川先輩。とりあえずイラスト栄えするキャラ出しとこう、みたいな感じで入れたんじゃなかろうか
・なんというか、大きな胸の描写に魂が感じられない。氷属性の得意な魔法使いキャラが無理矢理炎のロッド装備して使ってるような印象が
・ちょっ! タイトル原案ジョージ・K・ルターⅠ世って! あの至高にして究極のライトノベルさよならトロイメライの作者が!
・閉鎖する前の日記にメールもらったって書いてあったけどまだ交流続いてたんだ! いいなあ!
・よく見たら表紙カバーの折り返し欄に『壱乗寺かるた』ってしっかり書いてあるし! MF文庫Jに名前が載った最初の富士ミス作家かも!
・まあそれはそれとして、次の巻で何を描いてくれるかが、割と真剣に楽しみだったり