語り手の事情



相変わらず面白かった。語り手は酒見賢一氏の作品の中で随一の萌えキャラだと思う。
陋巷に在りの媚の人とか後宮小説の主人公達も捨てがたいのだけど、語り手というキャラクターには何か新鮮なものを感じた。
作品自体にも文章を追ってるだけでは読み取れない隠された意図とかギミックとかあるような気がする。「ピュタゴラスの旅」の短編でやってたようなやつ。


あと酒見氏は超人を描くのが上手いと思う。
戦闘能力が高いとか頭良いとかそういう意味でなく、もっと根本的なところで紙一重を超えてる人達というか。
ピュタゴラスの旅」のピュタゴラスとかエピクテトスとか、「陋巷に在り」の孔子とか顔回とか顔氏太長老とか、
「語り手の事情」の語り手とか、「泣き虫弱虫諸葛孔明」の孔明とか、
「周公旦」の周公旦とか「後宮小説」の渾沌とか。
渾沌の捉え所の無さっぷりは今の孔明に近いかも。