ベネット



ヒロインを分類する用語として、「属性」と「系」がある。
前に「妹」「幼馴染」「委員長」「メイド」などの駄目ワードを組み合わせて使用する。
「属性」がつくと名詞になり「系」がつくと形容詞になる。
例:妹属性を持つヒロイン。
  姉系ゲーム。


ここで問題とするのは「系」だ。
エヴァ以降綾波レイの模倣キャラが増え続けた結果、
綾波系という新しいジャンルが完成した。


アリアンロッドリプレイの2巻以降に登場するPC・ベネットにも
似たようなものを感じ、面白いと思った。
彼女は新たな「系」になりうるキャラかもしれない。その名も三下系。


ベネットの中の人であるところのPL・O畑氏は負けロールプレイの達人。
敗北する事を好み、自らを危機に陥れる言動を繰り返す。
具体的にどういう事か、わかりやすく例を挙げてみよう。


状況:敵に攻撃が通じない
勝ちロールプレイの例
「フッ、なかなかやるな……だが!」
負けロールプレイの例
「ヒ、ヒぃっ! ま、待ってくれ!」


一事が万事、こんな感じ。
橘さんや睦月が一生懸命頑張ってるのにヘタレなのに対し、
最初から確信犯的にヘタレをやるというネタである。


そんな氏が作成したベネットは一言で表現すると三下犬娘。
一人称が「あっし」で語尾は「やんす」
自己紹介をすると「あっしの名前はベネットでやんす」という感じになる。


既存のヒロインという概念からは遠い存在だが、これに犬耳尻尾なイラストが
悪魔合体した結果、どうしたことか魅力的なキャラに見えてしまった。
きっと脳内で化学反応がスパークして色々裏返ったのだろう。


少なくとも、斬新なキャラクターである事は間違いない。
ギャグ担当のヒロインというのはいたかもしれないが、彼女ほど体を張ってネタに
走ってるのはそうそういないだろう。むしろヒロインじゃないからこそ、
この壊れぶりが許されるのか。


未来と言うのは予測不能だから面白い。
100年前の人の未来予想図と現在は全く違っているだろうし、
エヴァ以前に綾波系ヒロインの竹の子的増加を予測できた人はいなかっただろう。
だからもしかしたら、もしかしたら何かのきっかけで何十年後かに
三下系ヒロインが突然流行りだす可能性も、決して否定できない。


「ヒ、ヒぃっ! ま、待ってくれ!」と叫ぶヒロインがどこのギャルゲーにも
登場するようになったら、きっと面白いだろうと思う。