キケロ



共和制ローマ最高の弁護士にして文筆家であり、元老院議員も務めていた。
ローマを帝政に変えようとしていたユリウス・カエサルとは政治的なライバルである。
しかし個人的には仲がよく頻繁に手紙のやりとりをしていたという。


塩野七生ローマ人の物語」に出てくるこの人物を面白いと思った。
教養があり、大衆の人気も財力も政治力もあった。著作は現代まで残っている。凄い人だ。
それなのにカエサルと絡むとどうも面白くなってしまう。


カエサルキケロの弟を軍団長に任命した。
指揮下におかれたわけで実質はキケロに対する人質である。
ところがこの弟、体弱いのに結構頑張った。カエサルも感心して手紙で知らせる。
キケロも喜んでありがとうと手紙を返す。なんかほのぼのだ。


カエサルと戦い、敗北したポンペイウス側についてしまったキケロ
一体カエサルは敵になった自分をどうするのだろうと彼が戦地から帰ってくるまで
半年間ずっと別荘で不安にくれるキケロ。寂しいので友人達に手紙を出しまくる。
で、カエサル帰還。出迎えの群集の中にいたキケロを見つけたカエサルは彼を抱擁、
歩きながら仲良く世間話。
その日キケロが妻にあてた手紙。
「今から帰るから風呂の準備をしておけ」
物凄く嬉しそうだキケロ。読んでて思わず良かったねと言いたくなった。


何と言うか、橘さんや柊蓮司と同種の匂いがする。
実力はあるのにヘタレ。傍で見ていて面白い。思わず応援したくなるタイプ。