レイチ・レイーチイチと耳刈ネルリの一年十一組:石川博品 ファミ通文庫 



耳刈ネルリと十一人の一年十一組 (ファミ通文庫)

耳刈ネルリと十一人の一年十一組 (ファミ通文庫)



最終章の文章がゆっくりとしか読めなかった。
たまにゲームのEDで演出の都合なのかメッセージの早送りができなくなって、じれったい思いをする事があったのだけど、
読みながらそれを思い出した。2.3文字ずつ、噛み締めるようにゆっくり読むしかできなかった。
先を見るのが怖いのと、今にも尽きそうな残りのページを少しでも味わいたかったからだと思うけど、そんな事は意識せず、
ただ勝手に読むのが遅くなった。
貴重な体験だったと思う。
ネルリという物語はそこにあるけど、今の自分はもうその物語を消費してしまった。時間が経てば再読もできるだろうし、
そうすればそれなりに新たな発見や面白みもあるだろうけど、もう自分は読んで消費して知ってしまった。
読み終えて、とても大事なものをなくしてしまった気がする。それは読む前にも少しはあって、読んでる最中は確かにあって、
でも今はもうどこにもない。確かにあったはずなのに。