ファンタシースターZERO レイマールさん奮闘記:その2



ファンタシースター ZERO

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レイマール:レンジャー・ヒューマン・女
フォニューム:フォース・ニューマン・男


ハンター(Hu):近接攻撃最強
レンジャー(Ra):銃撃のエキスパート
フォース(Fo):テクニック(魔法)最強


前回深い悲しみに包まれたレイマールさんだったが、それはさておき紳士タイムのフリー三昧でお腹が減ったので
朝飯を買いにLボタンを押しながらコンビニへ移動し、ついでにチャンピオンを立ち読みしているとLC星矢のバイオレートさんのページで天啓が閃いた。


すぐさまアパートにとって返したレイマールさんは買ってきた茹で卵をかじりながら身支度を整え、
都電荒川線で池袋へと向かい、東急ハンズで水色アフロのカツラをゲットしてから豊島区のハンターズギルドに住民票と免許証の写しを提出した。


30分後、そこには自慢の金髪をアフロに押し込んでゴーグルを装着してフォニュームの制服に身を包んだレイマールさんがいた。
新米フォニュームです! レベル1です! テクニックで火力が出したくてFoになりました! よろしくお願いします!


そういうことになった。


フォニュームは4種類あるFoの中でもテクニックの攻撃力に特化したクラスである。
最高クラスの法撃力に加えて全ての攻撃テクに+修正が付く。その分回復テクに意味不明の−補正が乗ったり
法撃力とPP以外の能力値が酷かったりするけれども、そこは火力不足で悲しみを背負ったレイマールさんの気持ちを汲んで欲しい。


それはさておき、その日からレイマールさんのFo生活が始まった。
Ra生活が長かったレイマールさんにとって、自己シフタでソロプレイでも火力を底上げできるというのは信じがたい贅沢だった。
高威力の範囲攻撃がデフォで使えるだけでも有難かった。あとスライサーが遠距離武器なのに打撃属性なのは反則だと思った。


チャージテクを連打して雑魚を片付け、ボス戦は弱体テクと遠距離スライサーで削り、当然PTメンバーへのシフタは欠かさない。
銃とテクでは攻撃範囲が微妙に違うが、もともと距離をとっての戦いは好きだったのですぐ馴染んだ。 
ときどきいつもの癖でLボタンを押しながら不審な動きをしていたが、単発テクを当てるにはそのやり方が向いていた。


レベルが上がるにつれ、念願の火力も順調に伸びていった。
テクニックの攻撃力は武器のフォトン属性やエレメントに依存しないため、装備が整ってなくても高い火力が出せる。
ケーキ屋を見つけてコンプレスアーツもゲットし、チャージ時間の短縮にも成功。つまりは高威力の範囲テクを打ち放題。
ラフォイエが落ちる前に次のラフォイエを撃ち上げてL+↑モーションでキャッキャするFoに隙は無かった。


当然、何事にも代償は必要である。
「作戦:ガンガン行こうぜ」状態のFoは常にPP不足に悩まされており、戦闘を終える度にフルイドをガブ飲みしなければならないのだが


「……なんかこれ面倒」


Ra出身のレイマールさんはメニューを開いて回復アイテムを使うのに慣れていなかった。
遠距離逃げ撃ち上等のRaは被弾機会が極端に少なく、また銃はPAがヘボいのでPPも使わない。
回復なんてパレットにレスタとディメイト差しとけばボス戦までそれで間に合うし、そもそもレイマールはまともに攻撃食らったら死ぬんだよおおぉぉ!!!


ジレンマであった。火力を求めてFoになったはいいものの、FoにはFoなりの苦労があった。
たまにこっそりアフロを外して本来の姿でフィールドに出てみたりもした。


「レイマールさん久しぶりですね^^」 「ちょっと大学の試験が忙しくて><」


などと白々しいやり取りをしながら久しぶりに銃を使ってみると、機関銃の殲滅効率もなかなか悪くないと思えてくるのだった。


そんなある日、レイマールさんは洞窟で他のFoとペアになった。
洞窟は銃が有利な数少ないステージでRaの聖地と呼ばれており、反面テク耐性や高いHPを持つ敵が多く範囲攻撃のFoとは相性が悪い。
まあこの人Lv高いしロージェイドに効く銃も拾ったし何とかなるかよろしくー、と軽い気持ちでフィールドに出たレイマールさんが見たものは
テクを使わずPAのみであっさり雑魚を瞬殺するフォニュエールの姿だった。


殴りFo。
一般的にFoは命中が低く難易度SHで物理攻撃など当たらないのだが、それをマグやユニット、自己シフタやPAのHit補正で
強引に実用レベルまで引き上げたFo達の総称である。苦労に対するリターンは大きく、SH以降やたら高くなる敵のテク耐性を無視できることに加え、
普通に高Lvテクを連打するよりもPP効率が格段に良い。あと短杖や長杖のPAは珍しいので見せびらかして自慢できる。


これは自分向きのスタイルでは? と、さっそく真似しようとしたレイマールさんはまたもや悲しみに包まれた。
フォニュームはテクの威力に全てをつぎ込んだクラスであり、命中は全クラス中ワースト1である。
もちろんそれでもマグやマテリアルで無理に補う事はできるが、他の殴りFoと比べてその分弱くなる事は否めない。


テクで火力を追及すると回復が面倒。かといって殴りFoには向いてない。
レイマールさんは悩んだ。明智勢を救援に行こうとして家臣に止められた家康と同じくらいに悩んだ。
気分転換に近所のスーパーで奮発して牛肉を買って焼いたら筋ばっかりで涙目だったけどそれはまた別の話。
そういやステーキ用とは書いてなかったよなぁ……。


そしてレイマールさんは決意した。


「……圧力鍋で煮込んでみよう」


ダウト。


「……最大火力はあきらめよう」


レイマールさんはそう呟くと愛用のピッツァボックス+99(※最強クラスの防具です)からコンプレスアーツとゴッド/マインドを抜いて
代わりにPPリカバリーLv4とテクニセイブLv3を差しこんだ。武器は長杖にしてマグもアンスールからシャトに替えた。


通常攻撃を完全に捨て、火力をギリギリまで保った効率重視の装備である。
フォニュームは種族特性としてデフォでPPの自動回復を持つが、これを回復ユニットと組み合わせれば5秒間でおよそ10PPの回復を見込める。
そしてPP消費の激しい範囲テクは控えめにして、なるだけ単発で立ち回るよう心がける。軽々しく連打できないようコンプレスアーツもあえて外す。


これで大抵の場合、回復はパレットに差したモノフルイド10本で足りるようになった。
敵の攻撃が激しく補助Foの聖地と呼ばれているプラントでも、途中で2秒くらい止まってディフルイドに差し替えれば
常時全力で攻撃回復補助を飛ばしても何とか最後まで保つ。プラントでメイト買いに行かせたら負けだと思ってる。


火力は多少落ちたものの、火力特化の時と比べて差はせいぜい50程度。むしろPP切れを気にせず全力で立ち回れる分、
殲滅効率は上がっている気さえする。何より、以前よりも使っていて気持ちいい。


レイマールさんはそこで一つの結論に達した。
最低限の火力と立ち回りさえできていれば、あとは使って楽しいのが一番であると。


SHの敵に苦戦していた頃ならいざ知らず、今はもう2人旅だろうと全てのボスはとっくにパターン入ってる。
ならば求めるべきは敵を倒すための火力ではなく、ゲームを楽しむための快適さであろう。


そうしてぶっ殺されかねない勢いで悟りを開いたレイマールさんは、透き通った穏やかな春風のような笑みを浮かべてフィールドに降り立った。
15分後、マザートリニティを開幕30秒で沈めた両剣Hu3人の姿を見て穏やかな笑みのまま血涙を流したけど、それはまた別の話。




つづく(?)
その1