パコと魔法の絵本



公式サイト
物凄く良い映画です。タイトルからは全然面白そうに見えませんけど、紛れもなく神作品です。
個人的には「時をかける少女」以来の大ヒット。「これはどんな人でも絶対に楽しめる」的な意味合いで。


ストーリーは「死にそうな捻くれジジイが可哀想な女の子のために頑張る」という素晴らしくわかりやすく
ちょっと擦れた人間ならこれだけで大体の流れとオチを予想できるだろうし実際それはそんなに外れないんですけど、
その描き方がとにかく計算ずくなんです。演出の効果を最大限にして観客の感情を緩急付けて心地良く揺さぶれるよう
台詞も絵も構図も小道具もCGもBGMも効果音も話の流れも全てがきっかり美しくただ観客を楽しませる為に備わってる。


普通ここまで計算して作られると「狙い過ぎで萎える」みたいな印象を与えかねないんですけど、この映画は
その計算を全く隠さない事でそうした悪印象を回避しています。組み込まれた演出の意図が凄まじくわかりやすい。
偉ぶって隠してない。「それは無いだろう」と言いたくなるほどのド直球。そして100%判るからこそ100%楽しめる。
隠さないから避けられないんですよ。見た瞬間に負けるのがわかっちゃう。強いなら隠す必要は無いんです。


とにもかくにも見事の一言。
カルドセプトで例えるならば5Lvケルピーを踏む直前にシャッターで武器カードを破壊されたような映画でした。
初公開が一ヶ月以上前なんでそろそろ終わるかもしれませんが、DVDでも良いですからぜひ見て欲しいです。