マルタ・サギーは探偵ですか?6 オスタスの守護者:野梨原花南 富士見ミステリー文庫



マルター! リッツー! マルタマルタリッツリッツマリアンナヘンリートーリアスー!
5巻を経てほぼ無敵になったマルタ・サギーが復活したらどうなったかというとやっぱり凄く最強だったんだけど
それでもやっぱりマルタはマルタで良いところは全部残っててそれだけでなく元のマルタと親しかった人たちがそれを見た困惑なんかも
きっちり描かれていたのがたまらない。変化にはっきり気付いていたのはマリアンナ、リッツ、ヘンリーの3人でヘンリーの総菜が食べたいと
マルタに言われた時やラストシーンで無茶しているマルタに凄く怒って、でも結局店を休業してまでマルタを送っていったヘンリーは最高だったし
元からマルタ大好きだったから大した変化はないかなぁと思われていたマリアンナさんも成長しまくったマルタにドキドキで好意から恋へと気持ちが
ランクアップしていく描写が繰り返し入ってたっていうか今回のサブタイトルの由来ともなってるP190がもうなんていうか言っちゃったー! 
とうとう言っちゃった言っちゃったって感じでたとえ寝言だろうと何だろうと憧れの人の前で言っちゃったら実行するしかないよなぁ男だもんなぁ。
いやそもそも寝言ってことは無意識で言ったんだから、つまるところマルタはマリアンナさんに加えてオスタス、彼にとって第二の故郷という言葉ですら
絶対に足りないほど大事に思ってたあの街を守るととっくの昔に決意していたってことになる。7巻が最終巻でマルタがあの宣言を実行するのは
その時なんだろうけど、そのための方法だって百万回練習したデートの誘いのようにきっと考えてあるに違いない。間違いなくそれは震えが来るほど格好良い。
それでリッツなんだけどやっぱりリッツなんだよあの街でマルタと最も近くにいたのは。だからマルタはリッツだけに打ち明けたんだしそれを聞いた時の
リッツの反応というか内面の独白がもう単に泣くだけじゃなくて悲しいんだよ涙なんてタンスに小指ぶつけたって出るんだよそれだけじゃなくて大事なのは
涙を流すその理由でマルタの事を両親よりもマリアンナよりも誰よりも理解しているリッツだからこそあそこで泣く事ができてリッツがマルタの痛みを知って
泣いたからこそあのシーンの涙には価値があってその後リッツは事あるごとに成長したマルタと比べた自分の無力を噛みしめてるけど実は無力なんてことは
全然なくてそもそもマルタが復活した理由のひとつは確実にリッツだし、リッツ視点だから描写はされてなかったかもしれないけれどリッツが泣いた時に
それを見ていたマルタだってきっと泣きたい気分だっただろうしマルタは復活するために大切なものをいくつも捨ててきたけどリッツが泣いてくれたおかげで
そのいくばくかは報われたんだよきっと。だからリッツは無力なんかじゃないしきっと未来は彼が望んだようにになって幸せになるに違いない。学校にいって
しっかり勉強して大学も卒業してランドルフ商会で働いて奨学金を返して事務所を構えてジョゼフ犬と結婚してたまには家族の夕食にマルタを呼ぶに違いない。


もちろん他のキャラだっていい味を出していて4巻であそこまでやったシェリーの毒もきっちり抜かれていたし女王陛下のあの言葉はマルタとリッツの2人にとって
泣きたくなるほど嬉しかっただろうしケイン先輩は一週間と少し前のままだったしマルタと打ち解けたランもそれまでの完璧超人ぶりから一転親しみやすい人間に
なったというか相変わらずマルタの同性と仲良くなる才能は異常というか穿った見方をすればマルタと相性の良い男が都合よくマルタと遭遇しているだけなんだけど
話が面白くなるのならそれで全然構わないし森川さんを説得できたのは相性云々じゃなく純粋にマルタ自身が頑張ったからだし。
いやもうこれ以上言うことは無し。全部言い切った。面白かった。願わくば最終巻ができるだけ早く、富士ミスが保つうちに出版されてくれることを。