ミスマルカ興国物語1:林トモアキ 角川スニーカー文庫



もう林トモアキは大丈夫だ。そう確信させてくれた新シリーズ。
ファンタジーの戦記物というライトノベルに限らず国内海外問わず先駆者がやたら大勢いるこのジャンルを
見事に林トモアキの文体で描写できている。これは作者の中である種のテンプレートが確立されたことの証で
つまりこの作者はもうこの先ネタに困らない。推理小説でも学園物でもラブコメでも何でも自己流に調理できるし
所属レーベルからして優秀な後輩が大勢出てきて埋もれてしまうということもまずないだろうし、レーベル自体にも安定感がある。
月刊連載を持ってるから執筆速度もそれなりに鍛えられている。林トモアキ分の不足で苦しむ心配は当分しなくていい。
これはライトノベル業界において読者にとっても作者にとっても稀有かつ幸福な状態。願わくば5年10年続いてくれますように。


中身の方はマスラヲのヒデオとおりがみの貴瀬を2:5でミックスして実力を引いたような主人公の王子と
マスラヲの婦警さんとおりがみの鈴蘭を月齢7で悪魔合体したような護衛の騎士がいい感じにドタバタやったりシリアスやったり
メイドが強かったりバイクが速かったりおそらくその場の勢いで大風呂敷を広げてたりしてました。林トモアキ面白かったです。