時載りリンネ! 1 はじまりの本:清野静 角川スニーカー文庫



地味な良作。児童文学に片足突っ込んだ、しかし紛れもないライトノベル
書き手は新人ながらも実力派。ライトノベル以外の本も普通に書けそうだという意味で。
たぶん無いだろうけど富士見のハードカバーで中村九郎「神様の悪魔か少年」が大当たりして
スニーカーも後追いで参入するとしたら間違いなく創刊メンバーに入るだろう人。
主人公の語彙力が小学生じゃない。ある意味りすかのキズタカよりも小学生離れした小学生。
普通の12歳は地の文で「馥郁(ふくいく)」だの「瀟洒(しょうしゃ)」だの使わない。


ああ、スニーカーもハルヒの儲けで余裕が出てきたんだな。と、思わせてくれる新作。
余裕無かったらここまで地味ですぐには売上に繋がらない、けど確実に良作を書いてくれるだろう人は拾えない。
しかしそういう堅実な中堅層の育成がレーベルの体力強化に繋がるわけで、そう考えるとハルヒ以前の不遇な時期もきっちり
「目立たないけど買う人は買う」くらいの作品を揃えていたスニーカーはさすが老舗だと思った。