モノケロスの魔杖は穿つ3:伊都工平 MF文庫J



よくもだましたなああああああ!!! だましてくれたなああああああ!!!!!


そんな感じの現代王国学園ファンタジー3巻目です。
このシリーズは1巻2巻で話の根幹に関わりそうな伏線がいくつも張られていまして、
「まあおそらくアレがこうなってこういう感じなんだろうね」と皆が予想して安心していたところで
その全てが全く予想外の形で同時に起爆されました。良質のミステリーばりのどんでん返しだったんですけど、
称賛すべきはその手法を推理小説ではなくバトルありラブコメありメカあり凝った世界設定ありなライトノベル
読者を楽しませるための一要素として用いたということです。全長4000メートル本州パンチだの巫女服が変形して
バーニア付きの鎧になっただの忍法自動車泥棒の術だの全自動猫耳を左右同時にスーパーキャッチだのといった頭のおかしい
数々の展開(超褒め言葉)と、綿密に論理的にストーリーを組み立てる能力とが伊都氏の中では共存できているのですよ。
もう放っておいたらどこまで行くのかわかりません。伊都工平にこれを書かせたというだけでMF文庫Jには存在した意味があります。


「国連認定勇者」とかの胡散臭いワードも現代ファンタジーならではの楽しみだと思うのですよ。
現実から半歩ズレた微妙さが面白さを生むといいますか。思えばデビュー作から世界設定の構築が綿密な人でした。


それとこのシリーズは絵師の巳島さんの力も大きいかなと。
表紙買いを誘発させるくらいに目立つ平均以上の萌え絵が描けて、なおかつ
千早城や管狐の軸箱といった伊都氏が大好きなギミック満載のメカを
毎回毎回律儀にイラスト化してくれる人って、他にはあんまりいないだろうなぁと。
何にせよ色々な意味で幸福というか乗りに乗ってるシリーズだと思うので早く続きをプリーズプリーズプリーズ。