第二回萌やし賞に応募してみたよ

『口はわざわいのもと』


「いいいいいやっはあああああhaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!」
途中から英語じみた発音で彼女は快哉を叫ぶ。
テレビの中では金色に光るヒゲ面のスノーボーダー
どう見ても物理的にありえない超絶トリックをキメていた。
空中でボードを掴んでタテ1回転。
「うううううううううううううううう」
エッジから光の尾を引きつつの横スピン。
「ああああああわわわわわあああああ」
手を持ち替えてさらにタテ回転。みるみる加算される評価点。
「……っ…………ぁ……ぅ……」
メーターが満タンになると同時、画面の下にコマンドが表示された。
「きたきたきた来たきたきたキタきたきたきた、きた!! 来たぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!!!!!!!」
逆立ちしてボードを脇に挟み、そのまま超高速で回転。
観客のどよめきと歓声、口笛にノリノリで上半身をシェイクする彼女。


直後、スノーボーダーが頭から地面に衝突した。
主を失ったボードが雪の上を滑っていく。評価点ゼロ。


「あああああああっこあsかおmだなぢfないsdじゃさ!!!!!!!!」
コントローラーをその場に放り出し、ベッドにダイブして枕を叩く。
十数秒後、息をきらせて顔を上げた彼女と目が合った。
乱れた髪を整え、半分ズレた眼鏡を直す。
「見た?」
笑顔だけど目は全く笑ってなかった。
「ううん、今来たとこ」
「そう、よかった」
「でも着地前には左スティックでバランスをとらないと」
その一言がいけなかった。

ここから。
少なくとも自分は萌えたので大成功。