Avalon 灰色の貴婦人



自分は体感MMORPGを題材にした小説が好き。現実のゲームでは技術的にあと数十年は待たなきゃ体験できないだろう物語を読めるから。
ネットで公開されてるヤツでは「Sword Art Online」や「Deadly Labyrinth」辺りがなかなか良い感じ。
市販物では電撃文庫の「クリス・クロス」、角川スニーカー文庫の「.hack//ZERO」、角川文庫の「The S.O.U.P.」、それとメディアファクトリー文庫のこの本が気に入ってる。


現実と非現実が曖昧な描写と観念的な会話と犬と人形で有名な押井守氏の小説。
「アヴァロン」というゲームと、そのゲームを取り巻く現実世界の描写がしっかりしてるのが好印象。
特にゲーム説明は秀逸で、敵とか武器とか職業とか戦術とか役割分担とか経験値配分とか、
技術さえあれば「アヴァロン」をそのまま作れそうなくらいにきっちりなされてる。
物凄く出来の良いゲームの説明書を読んだ気分。見てるだけでワクワクしてすぐにでもゲームCDを本体に入れたくなる感じ。
なのにゲームはない。生殺しだ畜生。こんなに面白そうなゲームなのに。
あと食事がやたら美味しそう。あの海鮮炒飯とか、配食所のトマトミートボールシチューとか食べてみたい。


映画版は小説の前の話でドラグノフ持ちの人が主人公。こっちも結構良かった。
アヴァロンをプレイしているうちに現実が少しずつ曖昧になっていく下りは押井節全開。
それとNPC3人の名前で笑った。全員即死呪文だし。