面白いとはどういう事か

ケインズ博士が若い頃受けた公務員試験、最も成績が悪かったのは経済学だった」
これを面白い文章だと仮定しよう。


上の文章の面白さを理解するには、「ケインズ博士が経済学者である」という
予備知識が必要だ。予備知識を持たない人にとって上の文章はただの事実でしかない。


予備知識を持っている人でも、全員が面白いと感じるとは限らない。
何を面白いと思うかは人によって異なる。感性の問題だ。


他人を面白がらせようとするならば、その人をよく知る必要がある。
どの程度の知識を持っているか、どういった感性の持ち主なのか。


あなたが何かを面白いと感じ、その面白さを他人に伝えたいと思ったとしよう。
それは難しい事だ。言葉での表現には限りがある。


面白さを伝える一番いい方法はそれ自体を他人にも体験させることだ。
映画ならビデオなりDVDなりを借りてきて見せる、もしくは映画館に連れて行けば
言葉でいくら説明するより鮮明にあなたの伝えたいことを表現できるだろう。


しかしそれを他人が面白がってくれるとは限らない。
あなたと他人は違う。知識が違い感性が違い経験が違う。
あなたはあなたの感じている面白さを100%他人に伝えることはできない。


逆に言えば、あなたと同じものを面白いと思っている人間は、あなたと近い人間だ。
性格的には相性が悪かったとしても、心の奥深くでは確実に同じものを
共有している人間だ。


元ネタのある冗談は元ネタがマイナーであり、わかる人間が少ないほど面白い。
それは冗談を言った人間と自分とが元ネタの面白さを深く共有しているからである。


自分に限りなく近い人間を見つけた幸福感、それを我々は笑いという形で外部に表現する。