ルクス・ペイン その3

  • 連続殺人事件がまだ解決していない。11人殺された去年と比べるとまだ小規模ながらも明らかにサイレント絡みである。見過ごすわけにはいかない。
    • 残留思念を調査しながら歩いていると犯人に行きついた。足元には武道やってるクラスメイトが倒れてて「俺頑張ったけど食い止めるのが精一杯でしたwwwサーセンwwww」って言った。
    • 犯人は「ちょww俺やってないwww証拠はwww」って言ったけどシグマで心を削ったらCERO基準Bの犯行自白とサイレントが飛び出して「私はシールドをタッチで壊した後に白い玉をスラッシュし続けると死ぬぞ!」って言った。
    • スラッシュと聞いた西条がMDを応援団収録曲メドレーから「すばらしきこのせかい」のサウンドトラックに変更してそこいらの車や自転車をサイコキネシスでぶつけたり光弾撃ったり燃やしたりすると「白い玉をスラッシュって言っただろうがよおおおお!!!」ってサイレントさんに怒られたので謝って普通にバトルして倒した。
    • サイレントを除去された犯人がやけっぱちになって西条に襲いかかろうとすると「リュウ・イー24歳! 趣味は拳法の稽古です!」って同僚が子安ボイスで言いながら登場してかずはじめっ面で犯人の精神を掌握した。たまらぬマインドアサシンであった。
    • 目の前で繰り出された超人技に「戦闘担当超かっけええええええ! ねえねえ今のもう一回見せて!」と興奮気味の西条。そしたらリュウ・イーが調子に乗って「俺は今まで1000体ものサイレントを……」とか寝言を吐きだしたので西条は褒めなきゃ良かったとちょっぴり後悔した。
    • そんなわけで犯人が逮捕されて連続殺人事件は解決した。「あれ? あのサイレントって本体じゃなかったよ?」って西条は寝る前に気付いたけれど、それはまた別の話。
  • そんなこんなで学園パートである。食堂でヤンデレ達とお茶飲んだりゲーセンで連れと対戦したり退院してきた美術の先生と世間話したりネットカフェで知り合いに遭遇して二人でニコ動観たりとすっかり学生生活に馴染みつつある西条アツキ17歳。
    • そしたら本部のロリじゃない方の人が「3日後にそっちでヤバい事件起こるかもしれないから注意な」って警告してきた。
    • 翌日登校すると「西条君転校してからまだ二週間なんだよね」 「すっかり溶け込んだよね」 「そういやもうすぐ学園祭だよな」 「一緒に楽しもうぜ!」 といった心温まる台詞の大盤振る舞いが始まった。
    • 「ちょwwお前らwww俺だけ参加できないフラグ立てんなwwww」システム側からの露骨な無事に済まさん予告にテンパリ気味の西条。
    • プレイヤーの緊張ゲージが高まる中、突然転校生がやってきて「アメリカ帰りです! 特技はシグマで心を喰らう事です! どちらかと言えばリュウ・イーの力に近いです!」って言った。
    • 「うちの組織に属してない能力者ってヤバくね?」 「ヤバヤバです。ヤバいなんてもんじゃないです」と西条が本部のロリとキラー7ごっこをやってると3日後本当にヤバい事になったので何らかの処分を下すことになった。
    • 説得して協力してくれるなら良し、断られたらその場で心を潰す。危ないので交渉の一切は戦闘担当のリュウ・イーに任せようという事になった。あいつも短い出番だったなあと既に転校生の退場を確信しつつ西条は眠りについた。
  • 次の日の朝、西条が目覚めるとやたら不穏なBGMが流れており、玄関のドアに何かがぶつかるような音がした。
    • うっわーって顔で西条がドアを開けると案の定リュウ・イーが倒れていたので死体を室内に引きずりこんで処理班に連絡したらまだ息があって昨夜のいきさつを語り出した。
    • 「お前も能力者なら、抵抗の一つも見せたいだろう?」「さあ、用意するんだ。死への準備を」「フッ、良い覚悟だ。喰らってやろう。お前の命を。魂の全てを」「全てを侵食する闇の力、ランスロット
    • 最初っから説得する気ゼロでただ格好良い台詞を吐きたかっただけとしか思えない態度であった。その様子を回想シーンで見せられた西条は「お前24歳で中二病かよwwwラwンwスwロwッwトwwwこのゲームそういう伝奇バトル物じゃないんですけどwww」って大笑いしながら自分の指輪に刻まれた「ガヴェイン」の文字にヤスリをかけた。
    • 「で、油断してたら黒幕から不意打ち食らいましたwwwでも好きなだけ格好良い事言えたから満足ですwwww」って子安武人ボイスで言って気絶したのでやってきた処理班に引き渡した。全治一ヶ月の精神負傷であった。
    • 回想シーンだしどうせ脚色して言ってただけだろうと後で戦闘現場の残留思念を探ってみたらマジで大方そのとおりのやり取りをしていたので西条は馬鹿にしつつも内心大変悔しがっていつか能力者とガチる機会があったら同じような演出をしてやろうと心に誓った。
  • それから色々あった末に西条は黒幕と対面した。黒幕はとても意外な人物で「お前らの組織のやってる事は無駄だから私が私のやり方で世界を救うね」という内容の演説を長々と繰り広げようとしたので西条はうんざりしてAボタン連打でスキップした。
    • せっかく用意した台詞を読み飛ばされた黒幕がしょんぼりしてるとどこからともなく「ククククク……アハハハハハハハ……!!!」って感じの邪悪な哄笑が決戦の場に響きわたった。
    • あまりに邪悪な声だったので黒幕はこの場にラスボスでも登場したかと不安げにあたりを見渡したけど笑っているのはどう見ても主人公の西条アツキ17歳だった。本当は黒幕の主張をもうちょっと穏便に笑うつもりだったけど中の人が夜神月だったのでつい地が出てしまったのである。
    • 「……」 「……」しばしの気まずい沈黙の後、「……やりますか?」 「やりましょう」という事になった。黒幕が自分の精神世界からサイレントの本体を出して「どうぞ」って言うと西条は「どうも」って応えて本体を倒したら黒幕が倒れた。二人の間にとても穏やかな空気が流れた。
    • 「倒された時用の台詞を読んでもいいですか?」って聞かれた西条が「どうぞどうぞ」って答えようとすると「格好良いこと言いたいです!」って額に書いた男がふらつきながら登場して言った。
    • 「臨終の告解といったところか?」
    • 「おいいぃぃぃぃ!!!! 帰れよお前全治一ヶ月とか言ってただろ!」 「でもここに汚れ仕事役の俺がいないとシナリオ上まずいですよね^^」
    • もっともな話だったので黒幕の始末は任せる事にした。でもリュウ・イーの台詞は鬱陶しかったので全部Aボタンでスキップしようとしたら無言でDS本体を奪われた。格好つけたい執念のなせる業であった。
    • これであらかた片付いたけど、今まで倒したサイレントの種類からして未発見の本体がまだどこかにいるはずった。それは別にいいんだけどリュウ・イーが次のボス戦にもしゃしゃり出てこないといいなあと西条は思った。

その1 その2