萌理賞に応募し損なった800字作品



次回の応募要項が400字なので、再利用ができなくなってしまった。
勿体無いからここで晒してみる。テーマは「萌え」でモチーフが「夏」

ソーダアイスを半分こ』


オンラインゲーム、『ダークアイズ』の中でも夏は暑い。今の時代では珍しくない、擬似感覚だ。
街の中では誰もが装備を脱いで水着姿で歩いているが、それでもやはり暑いものは暑い。
そんな中、俺と彼女は露店を出してアイテムを売っていた。メインの商品は色とりどりのアイスキャンデー。
やはり擬似感覚の冷たさを味わえる食料アイテムで、並べる端から飛ぶように売れている。俺もさっき1本買った。
「暑いッスよぉ……」
陳列台に突っ伏した彼女が情けない声をあげている。
リアルも含めて長い付き合いだが、この口調には未だに違和感を覚えてしまう。
「暑いならお前も食えばいいだろ」
「商売物に手ぇつけるわけにはいかないんスよ……」
クラスが商人だからって、そこまでロールする事はないだろうに。
ぐったりした表情は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)越しとは思えないほど現実的だ。
あんまり暑そうだったので、アイスをそっと首筋に当ててやった。
「ひぁああああ!!!!」
痛みと違い、こういう感覚は割と忠実に再現されている。
「少しは涼しくなったか?」
「何するんスか信じられないッス! びっくりしたじゃないッスかあ!」


その後も他愛無い話を続けているうちに、アイスが売り切れてしまった。
仕入れに行ってくるッス。少しだけ店番お願いするッスよ」
そう言っておきながら、彼女はなかなか帰ってこなかった。仕入先はそんなに遠くないはずなのに。
商人は大金を持ち歩いている割に戦闘能力が低い。誰かに襲われたのかもしれない。
探しに行こうかと思った矢先、首筋に刺すような冷たい感触。
「うぉおおおお!!!!」
奴か? 振り向くが誰もいない。だが冷たい物を当てられている感覚は確かにある。まさかこれは。


HMDを外して振り返ると、割れたソーダアイスを持った彼女がいた。
「どこまで仕入れに行ってたんだ」
「さっきのお返しッスよ」
にぃ、と笑ってアイスを舐めた。

『ダークアイズ』は自分が初めてプレイしたネトゲの名前。
昔書いた記事がこれ。色々な意味で未完成なゲームだったけど、今でも大好きなので使わせてもらった。
そもそもなぜネトゲ? という疑問の理由は言わずもがな。自分がそういうの好きだからです。